社会起業家という仕事 チェンジメーカーII
渡邊 奈々

定価: ¥ 1,680
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発売日: 2007-11-01
発売元: 日経BP社
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ボランティアではない
2007年、全米4年制大学卒業生の人気就職先ランキングで、トップ10に史上初めて非営利組織が2つ選ばれた。「Peacecorps」(米政府が運営する途上国ボランティアプログラム)と「Teach for America」(有名大学の成績優秀者が卒業後2年間、貧困地域の公立小中学校教師となるプログラム)である。
貧困・紛争・人権などの問題に対して、営利と福祉の両立という命題をクリアするべく優秀な人材が集まっている。NPOもあるが、適切な営利企業として運営されている企業も多いのが特徴だ。シリコンバレーからテクノロジーで社会問題を解決しようとする人、エリート銀行員がマイクロファイナンスで移民と途上国の貧困を解決しようとする人、そういった従来型の非営利組織とは違うアプローチで、社会起業が進んでいることは歓迎すべきことだし、適切なビジョンのある社会起業に対して資金が集まるアメリカという国の底力も感じる(本書はアメリカの事例だけではないが)。
日本でも、社会起業をしたい人、彼ら彼女らを応援したい人がたくさんいるはずである。本書はその後押しをしてくれるだろう。
社会変革の21世紀型モデル?
1950年代に職業革命家と名のる人たちがいた。また1960年代から1970年代前半には活動家と呼ばれる人たちがいた。彼らは当時の正義感あふれる若者たちのヒーローだった。
そして、21世紀型社会変革モデルと称される人たちが社会企業家(ソーシャル・アントレプレナー)というわけだ。革命家や活動家が反体制的であったのと違い、彼らは巨大企業からの寄付を募り、役人と協力しながら事態を打開していく。その臨床的な対応は見事な成果となって現れて、ひとつのビジネスモデルにされるようになった。
そのパイオニアの人たちに対するインタヴューは、さわやかな印象を残してくれる。アメリカで活躍している日本人写真家がインタヴューしているためか、国籍や民族の違いなど歯牙にもかけず、ごく自然に語られていて、とても感動した。
ビジネスとして成功し、組織が大きくなればそれなりの弊害は避けられないだろうが、ここでは前に進む情熱だけが語られている。
ぜひとも、この人たちの3年後、5年後、10年後のインタヴューを読みたいものだ。
世のため、人のため生きる人は、皆いい顔をしている。
日ごと劣化し続けるばかりのこの日本社会。自分のことしか考えない人間がどんどん増えているようで、近頃かなり絶望的になっていたが、この本を読んで(日本も捨てたもんじゃないかもしれない…)と、少し希望が湧き、元気になった。
ここに取り上げられている日本人チェンジ・メーカーたちは、世界中で成功を収める各国の社会起業家たちと少しも引けを取らず、皆とてもエネルギッシュで、うつくしい。写真が本業の著者自身が撮った世界の社会起業家たちの写真がいずれも魅力的で、改めて「行いは、その人の風貌を左右する」という真理を教えてくれる。
だからこの本、自分はこの国をリードしてると思い込んでいる日本の政治家や、官僚や、大手企業経営者や、マスコミの人たちにこそ読んでもらいたい。そして一日も早く、自分が世界から取り残されかけていることに気づき、本書に取り上げられている人々の生き方に学ぶべきである。